トレードマークは虎!IWC純米酒部門で入賞を果たす実力派 肉にも合う爽快でふくらみのある味わい

有光酒造場 社長 有光尚さんと奥様の佳子さん。

 

“安芸虎らしさ”のある酒質を追求

「安芸虎」を醸す有光酒造場は、創業100年以上の造り酒屋。高知市の東側に位置し、東西約4キロメートルに広がる「琴ヶ浜」を目の前に、背後に山々が広がります。自然豊かな環境のなか、昔ながらの手造りにこだわった酒造りを続けています。近くを流れる赤野川の伏流水は、優しくまろやかな軟水。その水から生まれるのは、しっかりとした厚みやふくらみのありながら、爽やかな酸味のある酒です。

10日目の醪。穏やかなバナナのような香りがたつ。

 

20年前は、杜氏も務めていたという社長の有光尚さん。「土佐の酒は、差しつ差されつ飲む酒。自分が杜氏のときは、ずっと返杯を続けても心地よく飲める酒、いわゆる土佐らしい淡麗辛口な酒を目指していた」と語ります。しかし、県外の地酒専門店へ持っていくと「個性がない」と言われ、なかなか売れなかったそう。

現杜氏の尾木芳之さんに交代してから、安芸虎らしい特徴のある酒を目指し、酒質を向上させていきました。しっかりと酸を出した酒、甘みと酸のバランスのとれた酒、そして、食事のときに飲んで美味しい酒が安芸虎の大きな特徴になっています。

 

基本は手造りの少量仕込み

「その頃は、酸度の低いほどいい酒だという固定概念があったので、最初は、酸のある酒が造りたいという尾木に『酸っぱい酒なんて、とんでもない。やめてくれ』と言っていました。でも、これが県外に持っていっても良いと言われるし、若い人も美味しいというので、まあ、しょうがないなと」と有光さんは言いながら、おおらかに笑います。酒造りは尾木さんを任せてからは、経営や営業に力を入れるようになったそうです。

杜氏の尾木芳之さん

 

倉庫として使われている蔵内の2階は、大きな天井の梁があったりお酒や古い道具が収納されたり、江戸時代の面影を残しています。昔は、麹室から出した出来たての麹を冷やす場としてや酛場としても使われていたそうです。長い歴史が感じられる一方で、「ヤブタ式」と呼ばれる機械の力で酒を搾る自動圧搾機など最新の設備も取り入れています。また、醪を仕込む場所にも冷蔵設備を設置。低温を保てるため、安定した酒造りが可能になっています。

2階の倉庫。紐を利用して、荷物の上げ下ろしを行う。

もともとは、全量槽搾りで行われていたが5年前からヤブタ式に。

 

国内から世界へ! 海外営業も積極的に

現在は、尾木杜氏を含めて蔵人5人が酒造りに従事しています。製造量は250石。そのほとんどが、純米酒です。また、すべて無濾過で瓶詰めを行っているのも、安芸虎のしっかりした味わいの秘訣。酒米は、高知県でできた酒造好適米品種「吟の夢」を中心に、松山三井や土佐錦、徳島の山田錦、岡山の朝日、雄町、広島県の千本錦、八反錦などと10種類以上。酵母も高知県で培養されたAA系、協会酵母などを数種類、比較的香りが穏やかなもの使用しています。

醪を仕込む冷蔵蔵。冬場は7℃になる。

ロンドンのIWCやフランスのKura Masterなど、国際的なコンテストでも高い評価をうける「安芸虎」。国内はもちろん、最近では海外の輸出にも力を入れています。現在は、アジアを中心に、スペイン、ドイツなどの欧州にも広まっているそうです。有光さんは、「今後もますます伸ばしていきたい」と語っていました。

昔ながらの銘柄「玉川」も、少量ながら今も造られている。

 

【おすすめの一本】

「安芸虎 山田錦純米酒80%精米」

しっかりとした味わいのボディ感がありながら、爽やかなキレの良さもある。味の濃い料理とも相性が良く、燗にするとより味のふくらみが感じられる。2017年、世界最大規模のワイン品評会IWCの純米酒部門でブロンズ賞、フランス人が選ぶ日本酒「Kura Master」の純米部門でプラチナ賞を受賞

【蔵内・参考資料】

蔵の入り口にある看板。

入ってすぐに瓶詰めする作業場がある。

麹室:壁と屋根裏に50cmほどの厚さにモミガラが敷詰めて保温性を保つ。

2階の倉庫では、瓶詰めして熟成中のお酒も並ぶ。

 

【DATA】

有限会社 有光酒造場

住所:高知県安芸市赤野38-1

創業1903(明治36)年。江戸時代から使われていたという酒蔵を買い取り、修理・改良しながら引き継ぐ。安芸市を流れる赤野川のやわらかな伏流水を仕込み水として、少量手造りに徹する。銘柄名の「安芸虎」は、戦国時代の武将「安芸國虎(あき・くにとら)」が由来。

トレードマークの凛々しい虎。

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