幻の栗焼酎「ダバダ火振」は、日本酒蔵で生まれた。

四万十町の自然の恵で造る焼酎。

高知県の西部に位置する四万十町は、日本最後の清流とも言われる四万十川が流れ、美しい里山の風景が今でも残っています。森林率は95%を超え、自然や生態系も豊かな土地。無手無冠は、四万十町に日本酒の蔵として1893年に創業されました。

四万十川の美しい風景。

その長い蔵の歴史の中、1985年転機が訪れます。四万十川周辺の山には、たくさんの栗が栽培されていました。落ちた栗を求めて猪が田畑を荒らす様になり、町から「栗でお酒を作ってくれませんか?」と依頼を受けました。そこから栗限定の蒸留免許を取得し、試行錯誤して完成したのが、現在の看板商品である栗焼酎「ダバダ火振」です。

無手無冠の看板銘柄である栗焼酎「ダバダ火振」。

「最初は全く売れませんでした。もちろん味には自信がありましたが、高知県は日本酒が強い土地で、焼酎を飲む文化がなかった。東京や大阪へ移住した町の出身者へDMを送ったところ、地元の栗を使った焼酎を応援したいと買ってくれた方から、徐々に広がっていきました。」と、無手無冠の番頭である福永太郎さんが教えてくださいました。

また1999年にJAL国際線の機内販売用の焼酎に「ダバダ火振」が採用され、販売から2ヶ月で完売。以降、人気に火が付き、なかなか手に入らない幻の焼酎となりました。

「ダバダ火振」に使われるブランド栗。

「ダバダ火振」に使用される四万十栗は、大きく糖度が高いことが特徴。質がいいため、ブランド栗として和菓子などにも使用されるようになりました。

「ダバダ火振」の仕込みの様子。

焼酎は1年中仕込むため、仕入れた栗は冷凍で保存されます。冷凍することにより、甘みが増し、さらには栗にいる虫が命の危機を感じ自ら出ていくという利点があります。

大きくて糖度の高い四万十栗。

山の急斜面で栽培される四万十栗は、生産者が高齢化とともに生産数がピーク時の3分の1にまで落ち込むこともあったそう。現在は、四万十産の美味しい栗を残そうと、町や蔵をあげて栗山の再生をし、少しずつ戻ってきています。

蔵人が栽培した無農薬のヒノヒカリで醸す。

無手無冠では、現在も日本酒が造られています。その多くは生原酒タイプ。昔、四万十町の林業に携わる方々が、仕事帰りに酒蔵に寄って、日本酒を飲み、仕事で疲れた体を癒していました。アルコール度数の高いお酒を好んで飲む方がいたため、生原酒のお酒が多く造られるようになりました。

キャプション:酒造り体験教室の田植え。有機肥料と紙マルチによる無農薬栽培の米作りから、作ったお米を使ってのお酒造りまで体験できる。

地元で育ったお米の「地酒」にこだわる無手無冠の日本酒造りは、蔵人自らが契約農家の田んぼで作った無農薬の食用米ヒノヒカリを使用。無農薬栽培は雑草との戦いですが、黒い和紙を田んぼに敷いて日光を遮断し、その上から穴を開けて苗を植えていく環境に優しい“紙マルチ栽培”という栽培法を採用しています。

若い人でも手に取りやすい印象的なパッケージデザイン。

2017年、山本勘介さんが5代目 代表取締役に就任。代変わりともに無手無冠のパッケージを現在のデザインにリニューアル。現在のデザインに変わり、流行に敏感な女性のお客さんがジャケ買いをするほど人気となりました。また、杜氏の喜田さんがチャレンジする新しいお酒からも目が離せません。昨年は蔵の歴史の中で初めての大吟醸を造り、2020年の今年はスパークリング日本酒を販売する予定です。

おすすめの1本

「無手無冠鬼辛 鬼辛(本醸造)」
とてもめずらしい本醸造の生原酒。甘みを残さないように十分に発酵させ、味わいは濃厚ながらも喉越しにキレがありフレッシュ。地元四万十の山の幸である猪肉の鍋や、鮎の塩焼きなどとの相性も良い。手に取りやすい価格で、毎日の晩酌に最適。

麹づくりをしています。

静寂な酒蔵の室の中に、米の擦れる音だけが響き渡ります。

ラベルに糊をつけ、1本ずつ丁寧に手貼りしています。

応募総数122点の地場産品の中から、2019年高知家うまいもの大賞の準グランプリに輝いたリキュールの「無手無冠 ゆず」。

「無手無冠 ゆず」が、四万十町の農家さんの無塩手搾りのゆずをたっぷりと使っています。

「DATA」

株式会社無手無冠
高知県高岡郡四万十町大正452
会社説明:1893年に酒蔵を創業。1985年より四万十栗を使った栗焼酎の蒸留を開始し、1999年には看板商品である栗焼酎「ダバダ火振」JAL国際線の機内販売用の焼酎に採用され人気が広がる。2000年には、リキュールの製造を開始。「無手無冠 ゆず」は2019年の「高知うまいもの大賞」で準グランプリを獲得した。

> イベント一覧へ戻る