高知は日本一の「天日塩」王国

海、山、川、光、風
豊かな自然から生まれる高知の「天日塩」はまさに逸品
塩づくりに恵まれた地形と気候に、個性豊かな職人たちの手が合わさって
その土地ならではのおいしい塩が生み出されます。

「天日塩」とは?

塩は、さまざまな方法で海水を約10倍に濃縮・結晶させてできあがります。
天日塩とはその中でも、火などの熱源を一切使用せず、
太陽と風の力だけで海水を濃縮・結晶させて作られたものを言います。
高知県は、この天日塩づくりが日本一(※)盛んなのです。
(※)…ネット式塩田を利用した製塩所の県内の件数

青山志穂さん

ソルトコーディネーター
青山志穂さんに聞く
高知
天日塩凄さとは

  • 高知県の塩がそんなにすごいということを知りませんでした。高知の塩のどこが特徴的なのでしょうか?

    「塩は生命維持に必要な食べ物ですので、全世界で作られています。しかし日本は海外のように岩塩が取れないので、海水から塩を作るしかありません。そんな日本のなかでも、いちばんの天日塩の生産地が高知県なのです」

  • 天日塩というのは、どのようなものを言うのでしょうか?

    「海水をなんらかの方法で濃縮して結晶させるのが日本の一般的な塩づくりなのですが、天日塩とは、濃縮・結晶をすべて太陽と風の力だけで行ったものをいいます。(一部、濃縮工程は別の方法だったりすることもあります)自然の力を活かした製法です」

  • なぜ高知でそのような製法が盛んなのでしょう?

    「まずは気候が適しているということがあげられます。それから地理的なメリットも大きいと思います。現在高知県には11の製塩所がそれぞれの製法で塩を作っています」

  • 気候と地理的なメリットとは、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか?

    「高知は雨も多く、年間複数回の台風の接近もあるので最適な場所とは言えません。それでもそういった日を除けば、気温も高く、温暖であり、日本の中では比較的天日塩づくりに向いていると言えると思います。何よりも、海の豊かさが非常にすばらしい。
    塩づくりには海が豊かで美しいことが絶対的に必要なのですが、高知はその海水のレベルが高い。というのも、土地の面積に対しての森林率が高く、すぐ近くに山がある高知の海には、山のミネラルをふんだんに含んだ水が川を通じて流れ込むので、その海水に含まれたミネラルがいい塩を産むんです。この山と海の近さは、高知の塩づくりには欠かせないファクターです。もう一つは技術の継承がちゃんと行われていること。師匠が弟子に教えて、その弟子が独立してまた弟子を育ててという流れがあるのは、全国でも稀で、実はすごいことです」

  • とっても魅力的な高知の天日塩。楽しみ方を教えてください。

    「はい。まずなんといっても高知の塩はパワフル。力強いのが特徴です。そして酸味。やや柑橘っぽい酸味があって後味が良いんです。もちろん製塩所や生産者によって味にバラエティはありますが、ベースで共通しているのはそこだと思います。塩は、ナトリウムなどの含有量でも味が違うし、粒の大きさの違いで口の中で溶ける早さ味の感じ方が変わってきます。とても繊細なもので、「全ての料理にあうお塩はない」というのが私の持論。ぜひ色々な塩を知って、お料理との組み合わせを楽しんでいただきたいです。お塩を知るとお料理はもっと美味しく楽しくなりますよ」

青山志穂

青山志穂Profile

一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事。東京都出身。
大学卒業後、総合食品メーカーにて企画開発・マーケティングに従事した後、沖縄に移住し塩と運命的な出会いを果たす。転職先で塩の専門店事業の責任者を務めたのち、同協会を設立して独立。国内外の延べ300箇所以上の製塩所を訪問し、保有する塩コレクションは約2000種類にのぼる。セミナー、講演、メディア出演、執筆、塩の販売などを通じて、誤解されがちな塩の正しい知識と楽しみ方を伝える活動を精力的に展開している。代表著書に「免疫力を高める塩レシピ」「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。

※日本ソルトコーディネーター協会 https://saltcoordinator.jp/
※青山志穂オフィシャルサイト https://shiho-aoyama.com/