どろめ祭りの街で醸す、高知県素材100%の「豊能梅」

赤岡町に根ざす高木酒造

香南市赤岡町は、高知県の中央に広がる香長平野の東南にある海に面した街。イワシの稚魚どろめ(しらす)や塩が特産物で、江戸期には商業の街として栄えていました。赤岡町に根ざす高木酒造は、1884年にこの地で創業。毎年4月に赤岡町で開催される「どろめ祭り」には、世界各国の酒豪が集まり、メインイベント「大杯飲み干し大会」では、代表銘柄の「豊能梅」の普通酒「楽鶯」が酌み交わされています。

代表銘柄の「豊能梅」

「豊能梅」のラベルをよく見ると“能”の字が、簡略化されているように見えます。実は、これは変体仮名の“の”。仮名文字が50音に統一された1900年ごろに、すでに存在する銘柄ということを表すために、今残してあるそうです。
近年「SAKE COMPETITION」や「IWC」他、国際的な審査会での受賞歴もあり、酒質が高いと認められています。

美味しさの秘訣は、こだわり抜く地元素材と発酵管理。

高木さんが「一口飲むと高知を感じられる」という、高木酒造の多くの日本酒は、地元の素材100%で造られています。
仕込み水は、蔵のすぐ側を流れる物部川の伏流水。
日本三大鍾乳洞にも数えられる「龍河洞」があるこの地域は、カルシウムなどのミネラル分を適度に含んだ水質で硬水の性質を併せ持つ中軟水です。ミネラル分が多く含まれると、発酵がしっかり進みやすく、軟水らしい口当たりが柔らかい点が、蔵の酒造りの酒質を決めるポイントにもなっているそう。

蒸米を広げて、お米を冷まします。

 

積極的に使用している高知県産の酒造好適米である「吟の夢」は吟醸酒、「土佐麗」は純米酒と、お米の個性によって使い分けられています。
高木酒造で造る日本酒は、高知県の工業技術センターで育種された高知独自の品種を、造りたい酒質に合わせてひとつひとつ酵母を変えて選択され、15種類以上もの原酒が生み出されています。大吟醸・純米大吟醸はリンゴに近い様な香りがあるCEL-19やCEL-11という酵母で低温発酵させ、純米酒は軽やかな男酒のイメージに近い酵母で発酵させているそう。高知でいう一般的な男酒とは、キレがあって少し酸がある様な辛口を指します。

 

種麹を散布します。

 

2019年度から杜氏をされている6代目 高木一歩さんに、美味しさの秘訣をお伺いしました。「もろみの発酵管理するときに、酵母に負担をかけないようにしています。酵母に無理をさせると癖が残ってしまいますので、綺麗なお酒が造れるよう、意識的に行っています。杜氏になったばかりなので、技術を継承しながら、同じ方向性でレベルを上げていきたいです。」と語ります。

「東京農業大学で実際に酒造りをして、お酒に興味を持ち、在学中は高知のアンテナショップのレストランでのアルバイトをしていました。その時に、お酒と料理のペアリングの奥深さを知ったり、たくさんの日本酒ファンの方と交流することができ、地元高知を盛り上げたいという思いが生まれました。」と高木さん。

大学を卒業後は、都内の日本酒に特化した販売店で3年修行した後に、2017年に蔵へ戻り5代目の指導の下、2019年に杜氏に就任しました。

夏に仕込む。早場米での日本一早い酒造り。

お酒造りの期間は、「寒造り」と呼ばれる秋から冬にかけてがメインの時期となりますが、高木酒造では、先々代の頃から夏仕込みもしているそう。というのも、高知県は、植付けが早く、早い時期に収穫する早場米が有名な地域。

醪に蒸米を入れながら混ぜていきます。

 

この早場米を使った濁り酒「豊能梅 おり酒」を8月に仕込みます。9月の上旬には出荷され、その年の新米を使って醸すお酒としては、日本一の早さを誇ります。2010年に開催された第5回日本全国美酒鑑評会・個性派部門にて「準大賞」受賞し、高知の広い地域で飲まれる濁り酒として愛されています。

地元で人気の濁り酒「豊能梅 おり酒」

 

おすすめの1本

【「土佐金蔵 土佐麗 特別純米酒」
6代目 高木一歩さんが、「土佐麗」精米60%を使用して2019年から製造をスタート。酵母・水も全て高知の素材を取り入れた。バナナ、メロンを連想させる軽やかで甘い香り、味わいは透明感があり爽やかな酸味が特徴の辛口。燗酒も冷酒もどちらにも適している。

 

メインの発酵が行われる仕込み蔵の入口。135年前の土壁や柱が残っています。

仕込み蔵の中の様子。並んでいる発酵タンクには多様な品種の酵母それぞれに適切な冷却ができるよう冷水の循環装置が備わっています。

甑(こしき)で米を蒸している様子。

麹用の蒸米を少量ずつ運びます。

 

 


高木酒造株式会社

住所:高知県香南市赤岡町443

1884年創業者である高木熊太郎が売り出した酒は「喜久娘」の銘柄で親しまれた。1928年、同じ町内にあった寺尾酒造の廃業を機に、同社の銘柄「豊能梅」を譲り受けることになる。1998年高知県産酒造好適米「吟の夢」の誕生を契機に「高知県素材100%」の酒造りに取り組んでいる。

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